線香花火





ぱち ぱち ぱち。

細かい音を立てて、弾けるしずく。

指先に、心地よく伝わる振動。
その赤い光は、頬を照らして。


昔、あなたに言った言葉を思い出す。

『1つになったら私たちは、落ちて消えてしまうかもしれない。
線香花火みたいに』

あなたは言った。

『消えてもかまわない。お前と一緒なら、俺は―――――』


ぱち ぱち…

弾ける火花が1つになる。
その瞬間、しずくは輝きを増して。

その光をはかないものじゃなく、
幸せなほほえみのように感じられるのは。

あなたの言葉があったから。


そして。


燃え尽きていく光を見届ける私の隣には、



今年も、あなたがいる。




2008.8.8


『線香花火のしずくみたいに、1つになったら落っこちちゃうの?』
だいぶ昔に聞いた歌のフレーズを元に書いた、スキフレーズ企画第2弾。
忍くんとの関係に迷ってたころを思い出してる沙羅ちゃんを書きたかったのですが…
あまりの突貫仕上げに自己完結気味になっちゃいましたw